田村憲孝の日記

完全日記ブログ。

逆転サヨナラ満塁ホームランとは

ホームランって実は単なる「ホームラン」っていうのはありません。「ホームラン」の前に何かしらの冠詞が付きます。

 

野球では打者がホームランを打つと、得点が入ります。

ホームランを打ったときに、ランナーがいなければ1点。ひとりランナーがいれば1足して2点。ふたりランナーがいれば3点。3人ランナーがいれば4点入ります。

1点入るホームランをソロホームランといいます。2点なら2ランホームラン、3点なら3ランホームランです。

4点入るホームランは4ランホームランとは言わず、満塁ホームランといいます。1塁・2塁・3塁、すべての塁をランナーが満たした状態で打ったホームランという意味です。

 

そのほか、いろいろとホームランには「冠詞」がつきます。

逆転ホームラン→2点以上得点できるホームランで、負けている状態から一気に相手のスコアを上回るホームラン

サヨナラホームラン→最終回もしくは延長戦で、そのホームランを打つことにより勝利が確定するホームラン。打った瞬間に試合が終了する。後攻のチームのみ実現可能。

代打ホームラン→ピンチヒッターとして打席に立った選手が打ったホームラン

 

いろいろありますが代表的なのはこのぐらいでしょうか。複合ワザとして「代打逆転ホームラン」とかいう使い方もします。

 

夏の高校野球だけで調べると、100年の歴史の中で満塁ホームランはこれまで49本。この数字だけ見ると多いのか少ないのかわからないので、もうひとつっこみ調べてみました。

今年の夏の甲子園は55試合あります。今大会は記念の100回大会ですので出場校が多いため試合数が多くなっていますが、例年は1大会48試合です。 初期の頃は出場校も少なかったので試合数も少なかったことを考慮し、平均1大会40試合としましょう。

今大会は100大会目。これまでに行われた試合は、40✕100=約4000試合。4000試合で満塁ホームランが49本ということは81.63試合に1本です。1大会に1回あるかどうかという貴重なホームランだということになります。さらに「逆転」とか「代打」とかがつくとなるともっと希少です。

 

昨日、2018年8月12日の済美対星稜戦、延長13回の裏に済美高校の矢野くんが放ったのは「逆転サヨナラ満塁ホームラン」です。冠詞3つ付です。

この場面の満塁というシチュエーションは、コツコツとランナーをためて満塁になったものではなく、タイブレークというある程度お膳立てされた状況から生まれたものです。今後記録として他の満塁ホームランと同列に扱うのかは議論を呼ぶのではないかな?とは感じます。(かと言ってこのホームランの価値が落ちるものではありませんが)

今年の大会から延長戦は13回になると、すべての回でノーアウト1・2塁から開始されます。13回のウラ、済美高校の攻撃は2点リードされた状態で、ノーアウト1・2塁から始まりました。先頭バッターがセーフティバントを決めて満塁。

ここで打席に立った矢野くんが放った打球は、打った瞬間はファウルかと思われたものの、甲子園特有の右から左へ流れる浜風が打球を押し戻します。最後はライトのポールを直撃する「逆転サヨナラ満塁ホームラン」となったのです。

サヨナラ満塁ホームラン自体は夏の大会史上2本目です。前回は1977年大鉄高校の川端選手が同点の場面から放ったもので「サヨナラ満塁ホームラン」でした。今回の矢野くんはさらに負けている状態から放たれたもので、冠詞をひとつ追加された「逆転サヨナラ満塁ホームラン」でした。100回の歴史の中でも初めてです。

 

高校野球ではありませんが、私が今まで見た最多冠詞付ホームランは「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」です。

2001年9月26日。近鉄バファローズが「優勝決定まであと1勝」という条件でオリックスとの試合を迎えました。9回表終了時、近鉄は3点ビハインド。球場のお客さんも、中継を見ていた私も「今日は優勝は無いかな。。」という、半ばあきらめムードで試合を見ていたものです。

9回裏、近鉄バファローズ最後の攻撃。あれよあれよと満塁のチャンスをお膳立てされ、打席に入ったのは代打の北川博敏選手。2ストライクまで追い込まれるも次の球を振り抜き、打球はライナーでレフトスタンドに飛び込みました。

一振りで優勝を決める、プロ野球史上唯一の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」となったのです。 アナウンサーが「(ホームベースを)ちゃんと踏めよ!ちゃんと踏めよ!!」と絶叫していたのが印象的です。

そのシーズンの優勝を決める試合で最後の場面で代打がでてきて、サヨナラ満塁ホームランを打つという、野球マンガで出てきても「そんなうまいハナシあるかーい」レベルの劇的なホームランです。

 

さて、夏の高校野球100回大会も佳境を迎えてまいりました。残り試合このホームランを上回る劇的なプレーは飛び出すのでしょうか。高校野球はこちらでどうぞ →バーチャル高校野球