田村憲孝の日記

完全日記ブログ。

これで良いのか野球の審判

野球には審判が必要です。幼い頃、放課後に友達と公園でやっていた野球では審判などおらず、微妙なプレーはじゃんけんで判定を決めていました。

正式に部活動として野球を始めると、試合にはプレーヤー以外の審判がつくようになりました。公式戦では連盟から派遣される審判さんがジャッジしてくれますが、練習試合の場合は各チームより審判を出すことになります。

審判としてグランドに立つのは野球部のOBであったり、その試合に出場していない下級生であったり、いずれかのチームの職員であったり、あらゆる立場の人が審判をします。

私自身も高校の野球部を引退したあと「田村さん、◯日の練習試合で塁審をお願いできますか?」と連絡があり、何度も実際にジャッジしたことがあります。塁審をやるものだと聞いてグランドに行くと「きょうは田村さん主審(一番責任が重いやつ)をおねがいしまーす」とか言われて泣きそうになったこともあります。

 

どちらかサイドの人間がプレーをジャッジするというのは、とても難しいものがあります。味方サイドをひいきしたくなるものの、あからさまにひいきするわけにはいかない。うん、審判は中立でなければならぬ!とは理解しているのですが、実際にはなかなか中立に徹することができません。

「後輩を贔屓してはいかん!」と意識しすぎて「逆ひいき」してしまい、あとで味方チームからブーイングを受けることもありました。こんな人間は審判をしてはいけません。。。

 

さて、今年から日本のプロ野球には「リクエスト制度」が採用されるようになりました。リクエスト制度とは審判の判定に不服があった場合、ビデオで検証することを求めることができ、映像により再度対象となるプレーを判定するものです。

リクエスト制度が採用されたことによって、明らかな誤審は減少したように感じます。審判の方からも「正確に確認できるので両チームの理解が得られる。」と概ね好評なようです。

 

しかしこれで判定についての課題がすべて解決したわけではなく、まだまだ問題のある判定が発生しています。

 

・6月26日 オリックス-ソフトバンク

ソフトバンクの打者が放った打球はライトポールをかすめ外野スタンドに着弾。一旦はファウルと判定されたものの、ソフトバンク側よりリクエスト判定の要望が主審に伝えられます。

ビデオを検証の結果、判定はホームランと覆されました。この得点が決勝点となり、オリックスはこの試合を落とします。

この判定に納得できないオリックス側は試合終了後再度ビデオを確認。ホームランではなくファウルであったことが判明しました。

リプレー誤審、再試合行わず オリックスは再度要求

リクエスト要求によるリプレー検証でも、VTRで映し出される映像が不鮮明で正確にプレーが判断できないようなケースもあります。その場合は「当初のジャッジどおり」になるという取り決めがあります。

しかしこのケースでは「VTRでは不鮮明であったにもかかわらず、当初の判定が覆された。なおかつ実際には当初の判定どおりファウルであった。」という点に問題がありました。

 

・8月19日 ヤクルト-阪神

阪神先発の岩田投手が打席の青木選手に対して投じた1球は、青木選手の頭部付近を襲います。主審の判定は「頭部へのデッドボール、岩田投手は危険球を投げたとして退場」というものでした。

しかしその後テレビの画面に映し出されたVTRを見てみると、明らかに青木選手の頭部に投球は触れていません。 死球か否かの判定をリクエストすることは可能ですが、阪神側からリクエストの要求もありませんでした。

阪神岩田が危険球退場、青木のヘルメットかすめる

 

高校野球でも。

・8月6日 佐久長聖-旭川

8回まで旭川大高校は3-2でリード。8回の佐久長聖の攻撃で2アウトランナー無しからレフトへ上がった打球に旭川大高校のレフトの選手が飛び込み、ダイレクトキャッチファインプレー!のように見えました。

しかし審判の判定は「グランドに一度触れて捕球したワンバウンドキャッチ」としてヒットになりました。そのランナーがきっかけとなり旭川大高校は佐久長聖高校に逆転を許し敗戦。甲子園を去ります。

【高校野球】佐久長聖―旭川大で誤審? 高野連「審判には完全捕球に見えなかったということ」

このプレーに対して高野連の審判部長は「リプレー検証は今後も全く考えてないです」と話したとも記載があります。

「審判は年上の方にやってもらうもの、その審判さんが言うことは絶対である、と認識するべき」といった奢りがあるのではないでしょうか。2年半、この日のために厳しい練習を耐えてきた選手が、誤った判定により敗退していくという悲劇をもたらさないためにも、対策を検討して頂きたいところです。

酷暑のなか、ボランティアでグランドに立っておられる高校野球の審判のみなさんには、本当に頭が下がる思いです。その審判のみなさん自身にとっても、正確に検証して判定を下すことはメリットになるのではないでしょうか。

 

プロ野球でのリクエストによるリプレイ検証を見ていると、肉眼ではあきらかに「セーフ」と見えても、VTRを見ると「アウト」であったということなども頻繁にあります。審判のスキルアップというところも問題にはなっていますが、どんなに審判が技術を向上しても人の目には限界があります。

 

私が野球というものに初めて興味を持った頃、3-40年前にはプロ野球高校野球の現場でも設備も整っておらず、審判の判定が絶対でした。審判の判定に異を唱えることはスムーズな試合進行を妨げる以外のなにものでもありませんでした。

しかし、今や映像でいくらでもプレーを検証できます。「誰もが納得できる判定を検証する」ことが可能なのです。「誤審も野球の一部」というのはもはや死語です。防ぐことが可能な人為的ミスによって、選手の人生が左右されるような事態はあってはならないのです。

 

正しいジャッジをするのが当たりまえ。誤ったときだけ叩かれる。きつい商売です。なのでなおさら、審判のみなさん自身のためにも、より正確な判定のもとに野球の試合が進行することを望みます。

 

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